池田潮(杉並区議会議員立候補)HP

杉並区議会議員選挙立候補者池田潮のページです

チルアウトと選挙

選挙期間中、朝8時から夜の8時まで、杉並区内各地の駅頭では70人もの候補者たちが一生懸命自らの主張と自分の名前を叫び続けている。どこまでいっても「一生懸命」がウケる世の中だからだ。だがおれは、拡声器を使っての街頭演説や街宣車での名前連呼は行っていない。うるさいし恥ずかしいし、個人情報をわめき散らすことには抵抗がある。

 

もしこれが選挙でもなんでもないときに「女性は日本に眠る最大の潜在力です。私はセックスが大好きで絶対に相手の女性を幸せにします! この姿勢を貫くことに一点の曇りもありません。○○です! どうか、どうか一発やらせてください!」などと拡声器で叫ぼうものなら、警察が来る前にそのへんのやつらから拡声器を奪われてあっというまに演説を止めさせられることだろう。だがいま街行く人々は、トランジスタによって増幅された気分に全く合わないセンチメンタルでアッパーな言説に対し、顔をしかめるか耳を塞ぐだけで足早に去っていく。

 

選挙期間中の日課はこうだ。朝起きて、洗濯機を回す。おれが選挙活動中に着ている第二国のトレーナーは2着あるので、毎日洗えば不快な匂いで票を減らすこともないはずだ。コーヒーを淹れてブログの文章を考える。雑踏に消えていった人々に届けるにはどんな言葉が必要だろうか。

 

期間中、7時には高円寺北口広場でチェアリングをすると決めているから締め切りは6時半。エントリーをアップして高円寺駅に向かう。南北の出口の複数箇所で候補者たちが演説をしているなか、おれは北口広場で椅子をひろげ、背もたれにもたれかかってくつろぐ。

 

選挙活動が許されるのは8時までだ。拡声器の音が一斉に止まり、高円寺北口広場は街の音を取り戻す。チルアウトとは、喧噪と興奮の余韻を残したスローテンポのことだとおれは思う。従来型の選挙はチルとは対極にある。

 

椅子に座り、ただ考える。おれがトップ当選したら、4年後の選挙では多くの候補者がチェアリングをしたり、メッセージ性の強いポスターやトレーナーを用意することになるのだろうか。チェアリングの場所取りで揉めたりするのだろうか。果たしておれは、ほんとうに議員になどなりたいのだろうか。

 

友達が来るなり「選挙カーがないなら段ボールで作って置いといたら?」と選挙戦略を提案してくれる。今日はだれに会えるだろうか。